当山西生寺の「弘智堂」にお祀りされている日本最古の即身仏「弘智法印」さまが、即身仏になるための
3000日の厳しい修行を終えて「入定」されたのが今から661年前の1363年10月2日です。
その弘智さまを偲ぶ法要「弘智講」が、檀家の皆さま参加の下で今年は10月6日(日)に開催されました。
今年の弘智講は以下のようなスケジュールです。
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2024『弘智講』
10:00~10:30 受付(庫裡)
10:30~11:20 法話、読経(客殿)
11:20~11:45 弘智法印即身仏御開帳・参拝
11:45~ お札・供物等受領、解散
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昨年の弘智講の特別イベントは「檀家さんみんなでビデオ上映会!」でしたが、
今年はオーソドックスな基本形の「法要+のんびり住職の法話を聞いて弘智さまをお参りしましょう」な弘智講です。
そして当日は見事な青空とそよ風が心地良い爽やかで穏やかで秋らしい
最高のお天気に恵まれてこれ以上ないくらいの行事日和でした。
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ではさっそく当日の様子をお伝えします。
まずは檀家の皆さんが揃ったところで檀家総代さんよりご挨拶。
次に檀信徒向けの経本集『智山勤行式』を皆で一緒にお唱えしました。
続いて『読経(法要)』です。
弘智法印即身仏さまの供養のお経の後、檀家一同の家内安全・無病息災などを祈願しました。
最後に住職の『法話タイム』
今年はゆっくりと時間がとれたので「良寛さまから見た弘智法印即身仏さま」のお話しや、
釈迦族の王子だったお釈迦さまが29歳で出家を決めるに至ったエピソード
「四門出遊(しもんしゅつゆう)」のお話しなどでした。
住職の法話を聞いて私が自分向けに「おお」と思ったのが、、、
世の中さまざまな苦悩や苦しみに溢れているがこれを仏教では「苦」という。
中でも「自分の思い通りにならない」というのが一番辛くて苦しい「苦」である。
この「苦」に陥った時に一番大事なのが、
「自分の思い通りにならない事は本当に自分の思い通りにはならないんだ」
と知る事。
知る事が「悟りの第一歩」であり、
知ってそして「諦める」のが「悟りの第二歩」。
諦めるとは「明らかに極める」こと。
ダメなものはダメと悟り明らかに極めると、
おのずと頷き(うなずき)が生まれ
「苦から解放されて自分を楽にしてあげることができる」
という内容のお話しです。
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最後に『弘智法印即身仏御開帳・参拝』です。
住職を先頭にみんなでぞろぞろと境内を歩き弘智堂へと移動します。
弘智法印即身仏さまの御開帳。一年ぶりにお会いしますという檀家さんも多いはずです。
お経を唱えながら御簾が上がり弘智法印即身仏さまのお姿が現われました。
(※2023撮影)
お灯をつけて内陣から弘智さまに手を合わせます。
順番に弘智さまに参拝を終えたあとは庫裡まで下りて、
御祈祷をした御札などを受け取って今年の「弘智講」は無事に終わりました。
本当に久しぶりにの~~んびりとした弘智講で
「のんびりも良いものだねー」と総代さんもおっしゃっていました。
檀家の皆さま今年もありがとうございました。
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そして今回の「おてら通信」の題にもありますが、
弘智さまに関する事のご報告をもうひとつさせてください。
ちょうど弘智講の前日、弘智さまの故郷である千葉県匝瑳(そうさ)市大浦地区の
弘智さまのご実家「鈴木家」の親族御一行さまが、
弘智さまを訪ねて遠路はるばるお参りに来てくださったのです!
下は小学3年生の男の子から上は94歳のおばあさままで総勢9名さま。
通常、御霊験あらたかな仏さま「弘智法印即身仏」との関わりは
檀家さんとか信者さんという感じですので、
身内・親族という関わりはめったにないことです。
自分たちのご先祖さまである身内が、
しかも600年以上も遠い遠い昔の身内の方が、
即身仏になったためにお姿がお寺のお堂に御安置されていて、
今でも今後もずっと「実際のお姿にお会いできる」のはかなり珍しいケースです。
鈴木家の皆さんはどんな心境なのでしょうか。。。
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庫裡でお茶を飲みながら賑やかに談笑をした後は
いよいよ‶御身内‶の弘智法印即身仏さまとのご対面です。
「弘智堂」までの最後の石段を家族に支えられて
ようやく登り切った94歳のおばあさまが「よっこらしょ」とやっとお堂に入り、
畳の上をはいずるように進み出て弘智さまのお厨子に最接近して
「こうちさん会いたかったよーこうちさん来ましたよー」
と身を乗り出して語り掛けたのですが、その語り口が
660年も前の方なのにまるでいつも会っていたかのような、
身内ならではの自然な語り口だったのがとても印象的でほっこりしました。
きっと弘智さまも身内の方が遠路はるばる大勢して
自分に会いに来てくれたことをとっても喜ばしく思ったに違いありません。
(お土産に鈴木家の畑で育てた大きなサツマイモをたくさん頂きました。
ホクホク甘くて美味しいふかし芋にしてさっそく弘智講の時に弘智さまにお供えを。
懐かしい故郷の味を堪能されたことでしょう)
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「たとえ命は尽きても朽ち果てぬ肉体をもってして迷い苦しむ人々を救う為、永遠に説法し続ける」
強い強い志のもと厳しい修行を経て即身仏となられた弘智さま。
その時代時代の悩み多き人々の心の支えとなり続けてきた
弘智法印即身仏さまはやっぱり唯一無二の凄い仏さまなのだなあと改めて思いました。
【600年越えのロングセラー「御衣守り」】
弘智法印即身仏さまが12年間身に着けていた着衣を入れた「御衣守り」。
普段持ち歩く物に入れておくとあらゆる災いから身を守ってくださるご利益のあるお守りです。
おかげさまで好評をいただいており当山一番人気のお守りです。