弘智法印即身仏さまの祥月命日の10月2日ではなくて「10月第1日曜日に開催」
となってから最も早い10月1日(日)に今年も弘智法印即身仏さまを偲ぶ日「弘智講」が開催されました。
朝晩ようやく涼しくなりましたが、例年より1週間ほど遅くに満開を迎えた境内の彼岸花。
彼岸花の見頃がちょうど「弘智講」と重なるのは私の記憶では初めての事でとても新鮮です。
(9月30日撮影)
せっかくですので
弘智講の法要が行われる客殿の愛染明王さまの前にしつらえた、
この日だけの特別な弘智さま仕様の内陣にも真紅の彼岸花をお供えしてみました。
弘智さまが山奥の「奥の院」で即身仏となるための厳しい修行をされていた時もきっと
秋彼岸の頃には傍らに真紅の彼岸花が美しく咲いていたことでしょう…
野に咲く花は長い年月を野山で修行された弘智さまに良く似合うなと思いました。
さて、今年の弘智講は以下のようなスケジュールでした。
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2023年度「弘智講」
9:00~9:30 受付
9:30~10:00 読経・住職法話
10:15~11:10 ビデオ上映会
11:10~11:40 弘智法印即身仏御開帳・参拝
11:40~ お札・供物等受領、解散
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昨年の弘智講の特別イベントは「檀家さんみんなで奥の院へ行こう!!」でしたが、
今年の弘智講の特別イベントは「檀家さんみんなでビデオ上映会!」です。
が、その話は順を追ってということで。
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まずは檀家の皆さんが揃ったところで『読経・法話』です。
最初に檀信徒向けの経本集「智山勤行式」を一緒にお唱えしました。
続いて読経です。
住職より手短に法話。
そしてお待たせいたしました。いよいよ『ビデオ上映会』でございます。
ビデオビデオっていったいどんな内容のビデオなのでしょう?
一番分かりやすいのが檀家さんにお配りした上映会のチラシですのでそのまま紹介いたします。
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300年の時空を超えて幻の古浄瑠璃
『越後國 弘知法印御伝記』VTR上映
当山の弘智法印即身仏さまがモデルとなって江戸時代に江戸で上演されたきり幻とされてきた古浄瑠璃『越後國 弘知法印御伝記』の原本が、250年の時を経て大英博物館で偶然に発見されました。
その後、ドナルド・キーン先生など数奇のご縁をつないで2009年、御伝記の舞台となった柏崎で人形浄瑠璃『越後猿八座』により300年ぶりに見事に復活上演を果たしました。
さらに2010年、「江戸凱旋上演」ともいえる念願の「東京公演」が決まり、その時に弘智法印さまと御伝記復活上演のドキュメンタリー番組が制作されました。題名は次のとおりです。
ブルボン新春スペシャル
『300年の時空を超えて 幻の古浄瑠璃 東京見参!』
「ぜひ弘智さまを御信心される西生寺檀家の皆さんにもこの番組を観ていただけたら」という『ドナルド・キーンセンター柏崎』の御厚意により実現できた上映会です。
弘智講当日には、柏崎からスタッフの方が機材を持ち込んで放映してくださる当山檀家の皆さんのためだけの特別な上映会です。
等々、、、
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ということなのですねー。
スクリーンの準備をしている時に、
ちょっと客殿内を見渡しましたらなんとその時の「東京公演ポスター」がまだ張ってありました!!
(物持ちが良いっていうか13年も経っているとは思えないほど色褪せもなくキレイです)
準備が整い約50分間のドキュメンタリー番組を檀家の皆さんと鑑賞しました。
番組を観ていて思い出しました。
当時、この番組のロケが西生寺でも行われまして‶イメージ映像‶として弘智さま役の方が
旅の衣装に菅笠をかぶりスモークを焚いて幻想的にした境内や奥の院を歩いたりしていました。
台本でしか残っていなかった「御伝記」に三味線や語りの節をつけて見事に「音源」を復活させた
義太夫のキーン誠己さんの熱のこもった弾き語りも久しぶりです。
ある意味、こうして「弘知法印御伝記」のモデルとなった弘智法印即身仏さまの西生寺で
番組を上映できたことも「御伝記里帰り」と言えるのではないでしょうか。
1363年に御入定されて以降660年も経つ弘智さまですが、
何百年経とうが、何度時代が変わろうが、まさに時空を超えて様々な形で話題を作り、
こうしてご縁を繋いでくださる弘智さまってやっぱりとんでもなく凄いお方だわーと感服しまくりでした。
(ドナルドキーンセンター柏崎の学芸員さま、中津副センター長さま)
お忙しい中、朝早くから柏崎より機材を持って来てくださいました
「ドナルド・キーンセンター柏崎」の皆さま、本当にありがとうございました。
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最後に『弘智法印即身仏御開帳・参拝』です。
(この日は雨が降ったり止んだりでした)
(2020年3月に「12年に1度の御衣替え」をして初めて緋の衣に身を包んだ弘智法印即身仏さま)
弘智さまに手を合わせ参拝を済ませせたあとは庫裡まで下りて、
御祈祷をした御札などを受け取って今年の「弘智講」は無事に終わりました。
(弘智堂から眺める「樹齢800年大銀杏」)
「たとえ命は尽きても朽ち果てぬ肉体をもってして迷い苦しむ人々を救う為、永遠に説法し続ける」
強い強い志のもと厳しい修行を経て即身仏となられた弘智さま。
檀家の皆さんには御信心の対象としての弘智さまじゃない
エンターテイメントの分野でも古くから庶民に親しまれていた弘智さまを知っていただけたし、
今年もなかなか印象深い「弘智講」だったなあと思います。
【600年越えのロングセラー「御衣守り」】
弘智法印即身仏さまが12年間身に着けていた着衣を入れた「御衣守り」。
普段持ち歩く物に入れておくとあらゆる災いから身を守ってくださるご利益のあるお守りです。
(私は枕元にひとつ、お財布の中の免許証に重ねてもうひとつ)
おかげさまで好評をいただいており当山一番人気のお守りです。