新しい年を迎えるための準備や諸堂の大掃除が続く西生寺です。
弘智堂の隣りにある「金毘羅堂」内陣の‶神さま飾り‶を新しく作るのも大切な師走の仕事です。
(手前「弘智堂」の右奥隣りにひっそりと建立されている「金毘羅堂」)
西生寺は毎年、住職が紙を切ったり折ったりしての完全手作りです。
1枚の紙が手品を見るように飾りになっていきます。
(完成した金毘羅堂の新しい神さま飾り)
晴れ間を縫ってさっそく新しい飾りを取り付けに行きました。
(お寺の敷地内だけど鳥居もちゃんとあります)
(苔むした石段を上ると…金毘羅堂が姿を現しました)
「ここは本当に西生寺かしら?」
と思うほど滅多に足を踏み入れることはない金毘羅堂。
ご近所の神社に迷い込んだような気分です。
(お堂が建立された江戸時代から時が止まったよう…)
(金毘羅堂から隣の弘智堂を見るとこんな感じ)
そしてお堂の中に入って出来たてホヤホヤの神さま飾りを所定の位置に祀って
新しい榊(さかき)をお供えをして完成です。
(冬に貴重な青い葉っぱを金毘羅堂前で見つけ「食べられるか」考察中の飼い猫タビー)
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西生寺のある野積地区は昔から「漁師の村」だったので
「海上安全」
「大漁祈願」
を願って「金毘羅堂」が建立されました。
今はひっそりと佇む金毘羅堂ですが、
かつての江戸時代は、
西生寺の「金毘羅講」は村中からお参りがあり大変な賑わいだったそうです。
そして西生寺の金毘羅さまを通じて
「無尽(むじん)」
「無尽講(むじんこう)」
という村人の組織があってこれがまた大盛況だったそうです。
「無尽」とは今で言う合法な宝くじ、互助会のようなモノで…
①メンバーの村人たちが毎月「定額」を出し合います。
②出し合った「貯金」を賭けて定期的に「くじ引き」をします。
③毎回「当たり」はメンバーひとりだけ。
④当たったメンバーは、仲間で貯めたお金を丸々貰えるという仕組みです。
⑤ちなみに当たった人も勝ち逃げは許されず(お上の取り締まりがあった)
会に残り定額出資を続けます。
西生寺の金毘羅さまの無尽はメンバーがとても多くて「当たりが高額」で有名だったとか。
一度当たるとそのお金で家中の畳替えが出来たと伝わっています。
貧しい村の家庭ごとのわずかな蓄えでは何もできないけど、
皆でお金を出し合ってたまった額でくじを引いて、
当たった家は高額を手にして借金もせずに必要な事に使うことができる!
という助け合いのシステムが無尽です。
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それでは皆さん
今年も1年「おてら通信」を読んでくださりありがとうございました。
どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。
(2021年の思い出。秋に苗場のドラゴンドラに乗って片道25分の空中散歩を楽しみました)